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    「寂聴 九十七歳の遺言」

読書のススメ
「寂聴 九十七歳の遺言」

DoLA / パテ

2021.12.04


 

人にはそれぞれ、些細なことから大きなものまで様々な課題が存在します。

その課題を克服したり、目標を達成したりしながら、

より良い幸せな人生を求めて生きています。

そんな皆様へお勧めしたい本をご紹介いたします。

「寂聴 九十七歳の遺言」             著者:瀬戸内寂聴 氏

2021年12月9日に心不全のため99歳で亡くなった作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん。

自立する新たな女性の生き方を作品で生き生きと描きながら、各地で行う法話では弱者に寄り添い、愛することの大切さを説いてきました。

老いと病を乗り越え、活動を続けたエネルギーの源とは何だったのでしょうか。

そこには若き日に体験した戦争と、幼い娘を捨てて家を出たことへの深い悔いがあったそうです。

34歳で文壇デビューした瀬戸内さん。その人生は波乱に満ちたものでした。

夫と幼い娘を捨てたことに批判を浴びながらも、400を超える本を執筆。

その後、得度し、各地で法話を行って心に傷を抱える人たちに寄り添ってきました。

今回は、寂聴さんの死を悼み、この本を手に取りました。

 

人間が生きるとは、どういうことでしょうか。

この年まで生きてきてはっきり言えるのは、それは「愛する」ことです。誰かを愛する。そのために人間は生きているのです。

誰も愛さないで死んでいく人は、ほんとうに可哀そうだと思います。結婚するとかしないとか、それは全く関係ない。誰か一人でも愛する人にめぐりあう。それが一番、私たちが生きたいという証になるでしょう。

小説家として5百冊近くも本を出しました。様々な賞もたくさんもらいました。でも、そんなものよりも私の中に今も深く残っているのは、愛した人の思い出なのです。

この年になるまで、好きなことを好きなようにして生きてきました。自分のしたいことは何でもして生きてきました。心残りは全くありません。

 

そして、この年になってようやくわかりましたが、愛することは許すことです。

ほんとに愛したら、何でも許せます。

愛とは、自分以外の人の心を想像し、その願いや望みを叶えてあげたいというやさしさ、思いやりです。

 

お釈迦様は最期に、弟子のアーナンダにこう言われました。

「アーナンダよ、泣くな、悲しむな、嘆くな。私は常に説いてきたではないか。すべての愛するもの、好むものは必ず別れる時が来ると。遭うは別れの始まりだと。およそ生じたもの、存在したものは、必ず破壊されるものだということを。これらの理が破られることはないのだ」

みなさん、私が死んでもどうか悲しまないでください。もし書けなくなっても嘆かないでください。

私はこの命の限り、愛し、書き、祈ったのだから、喜んで死んでいきましょう。

 

 

この本は、本当に寂聴さんの遺言そのものでした。

ご冥福をお祈り申し上げます。

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