人にはそれぞれ、些細なことから大きなものまで様々な課題が存在します。
その課題を克服したり、目標を達成したりしながら、より良い幸せな人生を求めて生きています。
そんな皆様へお勧めしたい本をご紹介していきます。
「コンプレックスプリズム」 著者:最果タヒ 氏
話すのが苦手って、本当?
人と話すのが苦手だ。でも、嫌いではないと思う。打ち合わせとかインタビューで話しているときはそれなりに楽しい。
けれどそれは相手が私をゲストとして扱ってくれるから、隅々まで気を遣ってくれているからだろう、そう帰り道に思い直しては、申し訳なくて申し訳なくて、楽しいとか浮かれていた自分を恥じる。
私は、「話をさせてもらう」場でないと楽しいとは思えない。サービスのような対応でしか喜ぶことができない。せめて、そういう場でも楽しくないって思える人間だったらよかったのになぁ。
これがコンプレックスです。
私は話したいのだ、話したいくせに「会話」を望んでいない。相手との和を作ることをがんばれない、和をきっと、好きでいることができていない。そして、それなのに「話すのが苦手だ」なんて誤魔化して暮らしていた。私はただ自分勝手なだけだろう。
わかっていても、私はコミュニケーションが苦手だ、他人が怖い、と繰り返した。そうやって逃げて、平穏を手に入れる。沈黙の中、さみしさをそんなに感じずにいられる自分を、「強い」とすら誤解していた。
本当は、ただ私の技術が足りないだけだ、けれど技術が足りなさすぎて、自分を犠牲にする以外方法が見つからない。
そうして私は、場を盛り下げてきた、期待外れだという顔をさせてしまった、つまんない奴だと言われてきた、そのたびに、なんかしんどいと正直思った。
意固地なのは私なのに、未熟なのは私なのに、そこで私は疲れてしまった。
私は身勝手だし、自分のことが大切で、でも、だからって一人でいる時間だけを愛して、ほかの、みんなと楽しく過ごす時間をすべて嫌うことなど、憎むことなど、できなかった。
憧れています、たのしい会話。空気を読んだ上で、たのしい会話できるならほんとはしたいです。でも、私はきっとこれからも自分を守ることを優先するし、そこにはまた別のプライドがあるから、後悔はしません。ただ、いいなぁって思っていたいな。叶わなくても、ずっと思っていたい。だからいいと思います。
「会話が嫌い」でも「コミュニケーションが憎い」でもなくて、「ただ話をするのが苦手」それでいいと思っています。
私のコンプレックスとプライドの代弁者だと感じました。
この気持ち、手に取るようにわかる、まるで私の中のことをまとめてくれたの?って感じで読みました。
だって、・・・講義の時にも、子ども懇談でも、会議でも、家の中であっても、私の仕事は私の考えを話すことだし、理想論であっても「そうありたい」と話さなくてはいけない。(と思っている)
自分の口から出た言葉は、そのまま自分にインプットされるもので、実践しなくてはいけないし、それをみんなが見ている・・・。
わざわざ傷をつけて、不透明にした自分のあちこちを光に当ててみる。私だけじゃなかったの?
そんな奥底の本当のかけらを表現する作品でした。