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「遊行を生きる」

読書のススメ
「遊行を生きる」
2021.07.09
人にはそれぞれ、些細なことから大きなものまで様々な課題が存在します。
その課題を克服したり、目標を達成したりしながら、
より良い幸せな人生を求めて生きています。
そんな皆様へお勧めしたい本をご紹介いたします。
「遊行を生きる」 著者:鎌田 實氏
古代インドの聖人は、人生を4つの時期に区切りました。それは「四住期(しじゅうき)」といわれています。
「学生期」は生まれてきた命が、学び成長する時期です。ありあまるパワーが外に向かい、大切な人生の土台をつくります。複雑で難しい時期でもあります。ときには内へ向かいすぎ、自分を壊してしまうこともある危険な時期です。
「家住期」は学んだ土台をステップにして、成熟していく過程です。この時期に家族をつくり、家をつくる。人によっては会社、組織をつくり、リアルな世界に根を張ります。
「林住期」は老年を迎えていく時期で、森や林に隠棲しながら、人間とは何か、生きるとは何か、様々な「人生の問題」を解決しようとする時期です。哲学的で内向きです。目には見えない心の世界のことも考えます。沈思黙考。「静」を感じさせます。
「遊行期」は死の準備の時期、人生の締めくくりの時期ともいわれています。
ときには道端が見えず、どこが道なのかわからなくなってしまうことがあります。知らないうちに矩をこえてしまうこともあります。人の道を踏み外してしまうこともあります。
社会的ルールよりも、自分の倫理観の中で生きたいともがいてきました。当然、社会の倫理と、自分の倫理観は違います。
孔子のいうように、60を過ぎれば、我を捨てて人の意見に耳を傾けるべきなのに、我を捨てることも上手にできません。できるだけ人とは違う自分の考えをもち、行動したいと思ってしまうのです。
空気を読むことはとても大事。しかし読み過ぎないことが、もっと大事。
目指す夢によって「我」のバランスが変わります。音楽家や芸術家になるのなら、圧倒的な強い我をもつべき。ときにはあえて、空気を無視することも大事。起業することを夢みているのであれば、強い我と、そして空気を読む力の両方が必要です。
しかし、空気は読めなくてもいいのです。スティーブ・ジョブズは、空気を読めなかったからこそ、世界の先頭を走るようになりました。
空気は読めなくてもいい。あるいは、ときとして空気を読めないふりをするのもいいかもしれません。
人生はとてもシンプルなのに、人間にはなまじ心があるために、悩んでしまうのです。
哲学者ニーチェの「曙光」に「脱皮できない蛇は滅びる」という有名な言葉がありますが、滅びないために脱皮したい。だから迷い、悩んでいます。そして「迷っていいのだ!」という結論に達しました。迷いながら、悩みながら、何歳になっても脱皮を目指してみたい、そう思っています。
「脱皮」とは、あえて自分を変えることです。もしかしたら、それが今の日本に必要な覚悟かもしれません。あいまいなままで、あやふやに、生きていける時代ではない。心底自分を見つめ、脱皮しないと生きていけなくなっていくでしょう。
天邪鬼っておもしろい。魅力的です。昔話に出てくる鬼の一種です。富士山を壊そうとしたという言い伝えがあります。あの天にそびえる富士山を壊そうなんて、大それたことを考えたのです。
誰もが考えつかないことをやろうとして、やりかけて成功はしませんでした。その一部が伊豆半島になったと言われています。
みんなが考えないことを考えてみる。これが、人生にとって大事なことなのです。
ときには型破りな「遊行」の考え方に活路を見いだせることがあります。
あえて自分を「壊す」覚悟が大切です。
それにはまず自分を「変える」覚悟をもち続けていたいと考えています。
そのためには、自分を「疑う」覚悟が必要です。
自分をときどき顧みなければなりません。自分がいつも怒り過ぎになっているとすれば、その怒りは体の中にためて、何かを変えるエネルギーにすることが大切です。
人生を変えるには・・・つくったら壊していく、壊したらまたつくっていく。自分を顧みて、もう少し肩の力を抜いて、あるがままに生きていきたいと思いました。