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シパツウ - C-POWER通信

就労移行支援事業所C-POWER WorkingSupportドーラ「会議の達人」の講義

岐阜県多治見市にある「C-POWER WorkingSupport ドーラ」は身体、知的、精神などの何らかの障害がある18歳から65歳の方が就労を目指して取り組む就労移行支援事業所です。
ドーラ(DOLA)とは、「Design Of Life Academy」の頭文字をとって名付けた事業所で、障害のある方が自分自身のこれからの人生と向き合い、生きるために何を学び、社会の中でどう自立して生きていくかを考え、「自分の人生設計をしていく場」です。

ドーラの講義の1つをご紹介いたします。

【会議の達人】

今日の会議の達人では、「『怒り』をコントロールすることで、エネルギーやモチベーションに変える」という課題について考えました。

◆アンガーマネジメントを知る

アンガーマネジメントとは、その名の通り「怒りと上手に付き合う」方法のことです。
自分や他人の「怒り」に振り回されず、「怒り」を上手にコントロールすることで、快適な生活やより良い人生を目指していこうとするメソッドです。
怒らないことを目指すという精神修行ではなく、知識と技術を使って「怒り」を取り扱うスキルを学びます。

◆怒りとは何か?

①怒りは要望
「怒り」というのは、何らかの要望を表現するための表現方法の一つであり、それによって何か物事を動かそうとしているのです。

②怒りは二次感情
「怒り」は「二次感情」だと言われています。
つまり、最初に「苛立ち」「恐怖」「不安」「恐れ」「寂しさ」といった一次感情が存在し、それが「怒り」という表現として噴出しているわけです。
「怒り」の裏側には「わかってもらいたい」という一次感情が隠れているということなのです。

③「怒り」は伝染する
人間は「怒り」に対して「怒り」で反応します。
「怒り」を内面に鬱積させている人と接していて、胸がザワザワした経験のある人も多いのではないでしょうか。
「怒り」を抱えている人は、周囲の人の「潜在的な怒り」も目覚めさせてしまいます。
また、身近な人に対しては、より強くなってしまう性質もあります。

◆怒りを考える
「怒る」ことのデメリットを考えてみると、おそらく「あとで後悔する」「相手と気まずくなる」などメンタル面をげる人が多いのではないでしょうか。
でも、実は、「身体に及ぼす悪影響」の方がデメリットは大きいのです。
体のあらゆる機能が落ち、通常の7~8倍くらいのダメージがあると言われています。
一方、怒ることのメリットは何でしょう。
「すっきりする」「相手にはっきり意思が伝えられる」といったことがありますね。
そして意外に思われるかもしれませんが、「モチベーションにつながる」というメリットもあるのです。
「悔しいから頑張る」「負けたくないから努力する」といった源となるアドレナリンは、「怒り」のエネルギーがないと生まれません。
「怒り」が向上心を生むことも多々あるのです。
青色発光ダイオードの発明でノーベル賞を受賞した中村修二さんは「自分のモチベーションは『怒り』だった」と言っていました。
大切なのは「怒るべきことは怒る」「怒らなくていいことは怒らないようにする」ことです。
この線引きができることが重要ですね。

◆「怒り」の感情をコントロールするのは、なぜ難しいの?
「教育として学んでこなかったから」です。
誰もが「怒ってはダメ」といった躾はうけたかもしれませんが、なぜダメなのか、教育としてきちんと理解しているかどうかで大きく違います。
「怒り」の感情自体は悪いものではないのです。
まずは「怒り」を理解し、コントロールする技術を身につけていくことがとても大事です。

◆悪い怒り

・強度が強い・・・・激高して怒る。 一度怒り出すと止まらない

・持続性がある・・・いつまでも怒り続ける。 根に持つ。

・頻度が高い・・・・しょっちゅうイライラしている。 カチンとくることが多い。

・攻撃性がある・・・他人を傷つける。 自分を傷つける。 物を壊す。

みなさんはこんな「悪い怒り」を発していませんか?

◆アンガーマネジメントのカギ

①衝動のコントロール・・・最初の6秒をやり過ごす
まずは、怒りの感情のピークである「最初の6秒をやり過ごす」ということが大切です。
人は怒ったときに最初の6秒でアドレナリンが強く出ると言われています。
だからこそこの6秒をやり過ごせば、何とかなる可能性が高くなります。
また、言葉で表現できないと行動で示してしまうので、怒りを表現するボキャブラリーを増やすこともコミュニケーションを円滑にする方法です。

②思考のコントロール・・・「べき」の境界線を広げる
自分が怒っていいても相手に伝わらないことは多々あります。
それは、自分と相手との言葉に対する温度差が違うからです。
コミュニケーションする相手と言葉のレベルに対しての共通認識を整えておく必要があります。
私たちは自分が考えるこうである「べき」という考えに対して、相手とのギャップができると「怒り」を感じます。
自分の「べき」は何か、相手が思う「べき」は何か、周囲の「べき」は何かを理解しておくと、相手の「怒り」ができるようになるでしょう。
気が早い人、のんびりしても怒らない人、「べき」は同じなのに、その感覚は人によって違います。
また、日によって気分や機嫌が変わり、許容範囲も変わることがあります。
違う価値観を持った人を許容できるようになることが望ましのですが、自分の許容範囲は人には見えませんし、他人の許容範囲も見えません。
だからこそ、自分の許容範囲を広げる努力をし、かつ、人によって境界線を変えないようにしてみましょう。
具体的には「そもそも」「ちゃんと」「しっかり」という曖昧な言葉を使わないで、相手に「せめて」「少なくとも」「最低限」どうしてほしいかを具体的に伝えることが大切です。

③行動のコントロール・・・できるものだけコントロールする
変えられないことや、コントロールできないこと、重要でないことは放っておいていいのです。
自分が変えられないことは、「受け入れる」「あきらめる」「がまんする」という言葉を使わないで、「人生にはそういうことがあるのだ」と受け止めるだけでいいのです。

◆アンガーマネジメントとは、
できることとできないことを選別して、できることは努力する、できないことはそれを受け入れる勇気を持つことです。

自分が今まで感じた「怒り」や「悲しみ」を見える化して、エネルギーに変えていきましょう。