人にはそれぞれ、些細なことから大きなものまで様々な課題が存在します。
その課題を克服したり、目標を達成したりしながら、より良い幸せな運命人生を求めて生きています。
そんな皆様へお勧めしたい本をご紹介していきます。
「愛の縫い目はここ」 著者:最果タヒ 氏
いつもタイトルの不思議さと表紙の美しさと滑らかさに、最果タヒさんの本を手に取ります。
言葉の美しさと思考の繊細さに「今日は何を考えさせてくれるだろう?」とワクワクしながら読み進めていきました。
タイトル通り「愛」についての詩から、こんな風に愛って表現できるんだ!と驚きの連続でした。
一部をご紹介いたします。
生活のどこかに好きな瞬間があるなら、そのことがきみの本当の遺言だ。
家族や恋人や友達といった存在はたしかにすばらしいけれど、それを差し置いて、きみが大切にしているシャンプーボトルや、窓から見える大きいすぎるイチョウ木が、死んでしまったきみの魂をつつんで、それから貝のように硬くとじる。
永遠が始まる。
きみがまばたきのように、毎日一瞬だけ愛したものと共に。
真珠の詩あとがきより
傷口が、私の輪郭なのか、世界の輪郭なのかわからないまま、境界として途方に暮れていた。
だれかが、わかるよ、と言ってくれるまで、このまま、形のない熱や痛みのままで、どこに、手を当てたらいいのかすらわからないまま、ひとりきりで乾いて、かさぶたを作っていく。
傷ついていくことが、こわれていくことだと、だめになっていくことだと当たり前に信じてきたけど、でも、本当は何かをそっと手作りしている途中なのかもしれないね。
縫い目が増えていく。
ぬいぐるみが、できあがっていく、毎日。
あなたの痛みに、わかるよ、と、言うことはできない。
でも、誰にもわからなくても、あなたの痛みはそこにあるよ、と伝えたい。
私などないまま、あなたの中に、あなたのものとなって、溶け込んでいく言葉を、書いていきたい。
私にあるのはそれだけです。
あなたの、曖昧さを抱きしめる。
その一瞬になりたかった。この詩集に、出会ってくれて、本当にありがとう。
本の中の文字と空間が、ひと呼吸おける感じで好きです。もう少しこの詩に浸れる。
そして、次の世界へ、、、。
繊細で複雑で、優しくて悲しくて、不思議だけど共感できて、でも共感してもらえている感じの安心と、こんな自分でも大丈夫なんだと思える言葉に支えられます。