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シパツウ - C-POWER通信

マンスリーアワード 8月受賞者発表!

クリパラボでは、
マンスリーアワードを開催しています。

1か月に1度、優れた研究を行った研究員を表彰しています。
今回は8月にマンスリーアワードを受賞した伊藤克久さんの研究内容をご紹介します。

克久さんの研究テーマは
「克久習字」

研究内容を示す画像とともに、
職員視点から見た克久さんのストーリーをご覧ください。

【筆先に宿るもの】

克久さんは活動を決める時、
常に迷いがない。

可能な限り、
書を選ぶ。

何がそんなに克久さんを駆り立てるのか。

そんな疑問に克久さんはこう答える。

「書いていると落ち着く」

腕や手は障害特性上、
自由に動かせるとは言えない状態だ。
そんな中、
克久さんは1時間以上集中し、
納得いくまで書き続けることもある。

もしも克久さんと同じ障害を私が持っている状況で、
字を書こうと思ったなら、
すぐに投げ出してしまうだろう。

書くことで落ち着くことなど到底考えられない。
だから疑問に思った。

どうして、
落ち着くのだろう。

トライできるエネルギーはどこから来るのだろうと。
何度か質問してみたが「(理由は)よくわからない。

とにかく書きたい。

一日一筆。極めるまで」
と言った後は、
終ぞ心の内を聞くことは
叶わなかった。

理由はわからないままか。

そう思いながらも、
克久さんの書を書く姿を目で追う自分がいた。

その間、書いていた言葉の一部を引用しよう。

「人生山あり谷あり」
「一人ひとりが主人公」
「生」
「尽力必成」
「当たり前の毎日を」
「心」
「明日へ」

どの書を書く時も、
真剣な眼差し。
動かせる部分をフルに使い、
筆と一体となった腕が躍動。

力強い筆致で、
ダイナミックな作品が完成していった。

数か月間、
作品を作り続ける克久さんを見ていて、
ある時、
ようやく思い至った。

動かせる腕で、懸命に。

筆先に、感情を乗せて。

男気溢れる止め、跳ね。

アンバランスな文字。

遊び心のように入る独特な間。

一つ一つに克久さんの、
その時の感情が宿されていた。

その上で、見ている人にメッセージを与えてくれる。


個人的な好みは
「明日へ」。

克久さんの新たな試みとして色紙に虹を描いた後、
その上に「明日へ」と書いた作品だ。

この作品を見ると、
苦しい状況でも明るく前向きに挑戦でることを、
私にいつも
教えてくれる。

あなたも、
何か困ったことがあったら克久さんの作品を見に来て欲しい。

エネルギーと、ヒントが貰えるはずだから。